月花話 5

漸く続きです。結局まだ買い換えしてないH"にぽちぽち打ってます。何時まで続けられるんだろう。そして何時まで続くんだろう、ホントに・・・(溜息)。




前回



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テーブルにトレイを置くとそのままベッドサイドまで来る。そして俺の背中に手を差し入れ起きるように促す。
その支える手に逆らわず身体をゆっくり起こすとグラスを差し出された。
飲め、と云う事だろう。
促されるままにグラスを受取り口をつける。こくり、と小さく飲み込んだ水は特段冷たいとかは無かったが、渇ききっていたらしい喉にはとても美味しく感じた。


「ゆっくり飲め」


感じた水の美味しさについ勢い良くグラスを傾け様としたら、やんわりとグラスを持つ手を止められた。
まるで子供の様だ、と思いバツが悪くて少し上目使いに加山を伺い見る。
加山はいつに無いゆったりとした笑みを浮かべて楽しそうだ。・・・くそぅ、何だか悔しい。


グラス一杯の水を飲み干して、漸く一息吐けた気がする。身体はまだダルいが、それでも起きぬけの時に比べればだいぶラクになった。
加山は俺の手から空になったグラスを取ると、そのグラスをかざしながら少し首を傾げる。その動作に無言でゆるく首を振る事で応える。それを見て加山はグラスを置きにベッドサイドから離れた。
その背中を何とは無しに眺めながら、最初に飲み込んだ疑問を幾らか楽になった口元から呟く。


「どうして・・・?」


小さな呟きだったが加山の耳には届いた様で、不思議そうな顔をして加山が振り向いた。
今度はその顔を見つめて疑問を口に乗せる。


「どうしておまえが・・・、」


ココに居るんだ、と続けようとした言葉は最後まで云い終わる前に、加山の「ストーーップ」と云う台詞に止められる。今度はこちらが不思議そうな顔をして加山を見ると、顔を顰めて盛大に溜め息を吐かれる。その様子が、何だかどこかで見た光景だなぁ、と頭の片角で思った。


「どうして、はこちらの台詞だ。全く、心臓に悪いったらなかったぞ」
「・・・ナニが」
「・・・大神」


至極真っ当に、云われた事への疑問を返せば、それこそ床に膝でも着きそうな勢いでがっくりうなだれられる。その姿勢からもの凄いジト目で加山がこちらを見つめてきた。・・・な、何かしたか、俺?


「な、何だよ」
「・・・大神ぃ。お前、全っ然変わってないなぁ〜」
「変わってないって・・・、何がだよ」


全くやってられんとでかでかと顔に表して、首を振りながら加山がまたベッドサイドへと戻ってきた。