大神生誕SS 続き其の三

今日中に大神生誕SSの続きをアップする。
と言う訳で、出来てる所までアップ…。
ラストはもう見えてるの…。見えてるんだけどね…。



前回



↓ 以下本文 ↓


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へらり、と笑いを浮かべている加山を気にせずに、そのまま詰め寄る。


「…何を隠してる?」
「…別に隠している事何てナイぞ」


その返答に些かムッとする。昔から飄々としていて弱みを見せないコイツがあんな顔を一瞬でも出してしまう位なのに、何も無いなんて有り得ないだろう。それとも、そんな事に誤魔化される俺だとでも思われているのだろうか。


「…じゃあ、服を脱いでみせろ」
「イヤダ」


正面に陣取り加山の目を見据えて言うと、満面の笑顔を添えて即答された。
しかしこちらもそんな事では引かない。


「何も無いなら別にいいだろ」


云いながら、何時もの白いスーツへ左腕を伸ばす。


「何も無いんだから脱ぐ必要も無いだろう?」


加山はそう云って伸ばした俺の腕を右腕でやんわりと取り、それでも確固とした強さでもって押さえる。


「屁理屈言うな」
「そっちこそ。そんな事より俺の質問に答えるのが先だろう?」


しれっとそんな風に返してくる。そんなラチのあかない押し問答に眉間に皺を寄せる。こうなったらもう、加山も俺も互いに譲らない。状況打破するには実力行使しか残っていない。
押さえた加山の腕をそのままに、力を入れて加山の身体へと更に腕を伸ばしてみる。その俺の行動に軽く溜め息を吐き、加山は俺の腕を押さえた右腕に力を込めた。今だ。


今まで力を入れて押していた左腕を引く。そして何かある、と踏んだ加山の左肩に右腕を伸ばした。加山は利き腕を俺の腕を押さえる事に使っていたので、思った通り咄嗟の反応が遅れた。そのまま押さえ込むように加山の左肩を掴む。


「!、…つ、ぅ」


瞬間、先程よりも顔を顰めて、呻くように加山の口から声が漏れる。その様にかなり心苦しかったが、痛みに力が抜けた一瞬を逃さずに、加山の右腕からも逃れて反対に腕を取りそのまま畳み掛けるように加山を押さえて云う。


「…これのドコが何も無いだって?」


出した声に苛立ちが滲む。そんな俺に加山はもう一度溜め息を吐いてぼそりとぼやいた。


「…不意打ちとは卑怯だぞ、大神ぃ」


卑怯と云われて少し胸が痛んだが、ソレを誤魔化すように加山のスーツの襟元を掴みぶっきらぼうに捲くし立てる。


「喧しい。ぐだぐた云わずにさっさと服を脱げ」
「イーヤーダ」
「…ここ迄きて、まだ隠すのかっ??!」


苛立ちについ声が荒くなる。加山もその俺の口調の強さに驚いたようだが、俺自身の方がもっと驚いた。思わず押さえていた加山を離してしまう程に。


「…大神?」


加山が不審そうに顔を覗き込んでくる。それから視線を合わせないように顔を逸らす。
そんな俺に加山は身体を起し、更に覗き込んでくる。


「…じゃあ、脱いでくれたら答えてやる」


そんな加山から顔を逸らしたままぽつりと呟いた。加山はきょとんとした後、暫く何事か首を傾げて考え込んでいたが、漸く合点がいったのか「あ」と小さく声を上げて、困ったような笑いを顔に載せた。


「…そう来るか〜。参ったな…」


ポリポリと頬をかき眥を下げた眼差しのまま、俺を見つめる。俺はと云えば、やはり視線を合わせる事が出来ずに横を向いたままだ。そんな俺を伺うように見ていた加山は、瞳を閉じて一度溜め息を吐く。そして深呼吸のように深く息一つ吸い込むと、意を決したように口を開いた。


「…どうしても、脱いでみせないと納得しないんだな?」


問い、と云うよりは確認な言葉。それに今度は視線を合わせて、こくんと一つ頷く。


「…わかった」


降参と云うように両手を軽く上に挙げ、そのまま自分でスーツの合わせを開き脱ぎ始める。何となくじっとその様を見つめていたら、ネクタイを緩め抜いていた加山が手を止め不意にこちらを見る。
その真剣な眼差しにドキッとする。


「な、何だよ?」
「えっち」


まだ釦を外してもいないシャツの前を、胸を隠す様に両手で手繰り合わせ、俯き加減な視線をこちらへ向けてそんなコトを云う。
…真面目に聞いた俺が馬鹿だった。
今度は俺の方が深い溜め息を吐く。そんな俺に構う事無く加山は続けた。


「下まで脱ぐかぁ?」
「脱がんでイイ」


シャツの釦を外して合わせに手をかけながら楽しそうにふざけた事を云う。それに間髪入れず返しながら、俺は赤いシャツの合わせからチラリと覗いた胸の白いモノに目が釘付けになっていた。
真っ白く真新しい、それ。
その俺の視線に気付いた加山がまた困った様に笑った。


「…余りジロジロ見るなよ、大神ぃ〜」
「………」


肩が肌蹴ると、それは左肩を中心に巻かれているのが判った。白いモノ。…包帯。
中心となる左肩の部分には小さいがうっすらと赤いモノが滲んでいる。


「…コレ、もしかしてさっき…?」
「イヤ、違う。…別に、気にするな」
「でも…」


無意識に伸ばしていた腕が、加山の真っ白い包帯に被われた肩へと触れる。ソレを俺の触れている手ごと包むように、加山の手が上から被さる。