月花話3

ログが流れる前には続きをアプしたいよねぇ…<他人事か。
漸く次回には隠密隊長登場の予感。頑張れ我様。




前回


前々回



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漸く全ての後片付けを終えた時には、曇っていた空からパラパラと滴が降り始めていた。
それは唯でさえ肌寒い空気に拍車を掛ける。

まずはさっぱりと汗を流し、すっかり汗と冷えた空気に冷たくなった身体を熱い湯に浸かるコトで暖め、疲れを癒す。その後食事を、と思ったのだが、あれだけ動いて汗もかいたのに食欲が全然起こっていない自分に少し驚く。それでも身体の為と薬を飲用する為に、多少無理をしてでも食事を摂った。

そういえば湯にも浸かり身体も暖めたはずなのに、肌寒さが一行に収まらない。
雨が降って急に寒くなったしなぁ、などとのんびり考えながら食器を洗い終え、お茶で一服のんびりした後に食堂を後にする。廊下を進み階段を上がり始める。

すると、不意にくらりと視界が歪み足元がふらついた。
咄嗟の反射神経で壁への激突と階段を転げ落ちる事は免れたが、手を着いたそこから身体が離せない。
肌寒さは急に悪寒に代わり、イヤな汗が出る。歪んだ視界はその侭暗幕が降りて来る様に狭まってくる。



(…こ、れは、やばいかもーー?)



今更気付いても遅いが、気力を振り絞り何とか暗い視界と重い身体を叱咤して、壁にすがりながら自室前まで辿り着く。
扉を開けるのももどかしく、上手く力の入らない手でドアノブを回す。
よろけながら転がり込む様に部屋の中に入り、その侭ベッドへ倒れ込む。
横になれば少しでも落ち着くと思った目眩いは、一瞬和らいだが、そのまま視界だけで無く意識に迄暗幕をかけてきた。
僅かに残る冷静さで靴を脱ぎすて身体全てをベッドへ上げる。そして力の入らない腕で毛布を手繰り寄せ身体に巻き付ける。



(……あ、)



沈んで行く視界と意識の中で、ふと開けっ放しのカーテンの先に有る窓が気になった。
無意識に腕を伸ばし鍵に手をかける。




カチャン。




微かに聞こえた鍵の外れる音を最後に意識は途切れた。